060 念话(2/2)

 俺の様子を見た猩々が顔を怒りで染め、三体とも一気に俺に向かって走ってくる。


 アイツらとの交渉は端から無理だと踏んでいた。


 だが、〖念話〗持ちの大猩々ならどうだ。




 俺は自分に向かいくる三体を無視し、一心に大猩々を睨む。


 元より勝算は低い。


 当てを外したら、このまま逃げる。


 敵全員の矛先が俺に向いている今なら、黒蜥蜴も楽に逃げられるはずだ。






『ソノ様子、我ノ能力ヲ知ッテノコトカ?』




 頭に、大猩々の思考が入り込んでくる。


 言葉ではなく、もっと具体的で、深いものが。


 俺に投げ掛けた質問の内容の他に、大猩々の感情、性格も同時に伝達されているような感覚だ。


 これが念話か。




 賭けには勝った。


 俺と大猩々の様子を見て、猩々も固まっている。




 しかし意思の疎通こそ可能であることがわかったが、同時に交渉が難しいことがわかった。


 大猩々の怒りと、野生としての誇り高さ、知性はあるが本能的な性格が伝わってきたからだ。

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